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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)219号 判決

被告人

西松産業株式会社

右代表者 西松長四郞

主文

本件控訴は之を棄却する。

当審に於ける訴訟費用(国選弁護人支給分)は被告人の負担とする。

理由

弁護人小沢秋二提出の控訴趣意書の要旨は。

原審検察官の冒頭陳述は「起訴状記載の日時場所に於て苛性曹違を買受けた事実」とあるのみである。従つて右事実立証の為め提出した証拠を以てしては犯罪事実の一切を立証し得ないに不拘原審は右資料を採つて其立証趣旨に包含せられない一切の犯罪事実を認定したのは理由不備又は事実誤認の違法がある(中略)と謂うにある。

依つて弁護人所論の点に就き按ずるに原審第二回公判調書の記載に依ると検察官の冒頭陳述は弁護人所論の通り極めて不備であるが元来証拠の証明力は当事者の主張する立証趣旨に拘束せられること無く裁判所に於て事実認定の資料として適当であると認めたときは爾余の事実に就ても亦之を援用し得るものであることは証拠共通の原則の上から看て明であるから論旨第一点は理由が無い。

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